鼻で呼吸することを子供のうちに覚えることの意味

最近の子どもたちに口呼吸が多いと
社会では言われているが…

なんとなく口呼吸が悪いというのはわかるが、

いまいちピンとこない人が多いのではないだろうか。

なぜ、口呼吸をしてしまうのか というと
それは楽だからである。

鼻で呼吸するより口で呼吸した方が楽だから。

鼻で呼吸するということは
口を閉じているということ。

口を閉じることは重力に逆らうということだから
当然筋肉を使っているということになる。

つまり、
筋肉をつかう鼻呼吸に比べ、筋肉を使わない口呼吸の方が楽なのである。
これがいわゆる、お口ポカンの状態である。

最近の子どもたちは口の周りの筋肉や、舌の筋肉が衰えているのである。

一方、
ある重度脳性まひ児。
バギーに座り、常時口が開いていた。

くちびるを介助し、閉じさせた。

血中酸素飽和度(正常値96%以上)を測ると
驚くことに88から94%に上昇した!

つまり、口を閉じた方が楽なのだ。

なのに、患児は口を開けて苦しんでいる。

なぜだろう??

患児は、舌の力がないため口が開き舌根沈下を起こし気道が狭くなって呼吸がしづらくなったのだ。

しかし、低酸素状態のため、それを訴える力がない。

本当は苦しいのではなかろうか?

私はこの話を聞いたとき、
自分の祖父やたくさんの高齢患者さんのことを思い浮かべた。

病室で口を開けてぜいぜい苦しそうに呼吸をしている姿。もしかしたらその時、お口を閉じさせるような口の訓練、口腔ケアができていたら…。

子どもの頃に身についたクセは一生ついてくる。
子どもの頃のクセが高齢になった時に影響するんだよ!と一言で言っても、なかなかわかってもらえない。

子どもの頃に口をしっかり閉じ、鼻で呼吸するのが当たり前になっていればたくさんの病気や、苦しさから逃れることができるのではないのだろうか。